研究概要 |
本年度実施した研究の成果としては,前年度の研究成果を受けて,(1)群知能を利用したメタ-ヒューリスティクスの実験的評価とその結果に基づく適応型メタヒューリスティクスへの拡張,(2)進化計算を用いた制約充足問題の実問題生成方法の実験的評価,(3)エージェントベースモデリングによる応用システムの開発等,を実施した.それぞれ交付申請書記載の研究目的に関連するものであり,いずれもほぼ研究実施計画通りに実施することができている. (1)では,前年度実施した実験的評価に基づき,解候補を生成する複数のエージェントが他のエージェントと協調しながら問題解決を進めていく方法の拡張を行なった.具体的には異なる問題解決機能をもつエージェントの集団(つまり,集団ごとに異なる問題解決戦略をもつ)を生成して,集団同士のコミュニケーション方法によって,個々の問題に対して適応的に解決を進めていくメタヒューリスティクスに拡張した.これは本研究課題の最も重要な課題に対する成果として大きな意義をもつものである. (2)では,前年度に実施した進化計算モデルを取り入れた実問題生成法のさらなる実験的評価を行なった.いくつかの生成された実問題に対して計算機シミュレーション実験を行なった結果,先行研究で得られた結果とほぼ同等の結果を得ることができた.これにより,ここで開発した方法が問題生成方法として十分有用であることを示すことができた. (3)は,これまでの研究内容を踏まえて,応用課題として具体的な現実問題(都市計画問題)に対して,エージェントベースでモデル化を行ない,計算機シミュレーションを通して問題解決を行なうシステム開発を行なった.
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