研究概要 |
災害救助シミュレーションにおいてマルチエージェントシステムが行動する環境の要因である地図の構造を分析するため,地図の中でも道路に着目し研究を行った.道路を有向グラフととみなすことで,道路ネットワークを定義した.そして,その道路ネットワークをグラフ理論や統計分析を利用することで,構造の分析を図った.さらには自己組織化マップ(教師なし競合学習のアルゴリズムを持つ,フィードフォワード型のニューラルネットワーク)を用いることで,それらの分析結果の分類や区分が行えないか検証を進めた. 地図の分析は地図をネットワーク構造としてとらえ,グラフ理論の局所連結度やネットワークフロー,統計分析の正準相関係数,社会ネットワーク分野のスモールワールド性やスケールフリーネットワークなど,さまざまな角度から行った.また,自己組織化マップによる分類では,高次元空間を低次元空間に写像することで,統計分析結果を2次元平面上に可視化し分類した.そして,地図の特徴を抽出することを試みた. これらの結果から,地図の持つ情報のうち道路を有効グラフ化してそれを分析することで,地図を用いたシミュレーションを行うようなマルチエージェントシステムにおいて,評価の基準を与えられる可能性があることが判明した.そして,今後研究が進めば,地図の環境に応じた適切,もしくそれに近いエージェントの配置や割り当てが容易になると考えられる. これらの研究成果の一部は査読付きの国際学会で発表を行った.平成22年度も引き続き学会発表や論文誌への投稿を進めていく.
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