研究概要 |
本研究では,自律分散的な進化的手法を用いて,ネットワークを最適化するアルゴリズムの構築を目的としている.特に以下の3つの特徴を持つ最適化アルゴリズムを目指している. 【特徴A】最適化性能がスケールフリーである(ネットワークの規模に依存しない最適化). 【特徴B】部分最適ではなく全体最適を実現する(ネットワーク全体にとっての最適化). 【特徴C】負荷分散のみならず機能分散を実現する(通信の優先順位に応じた最適化). 本年度は,【特徴B】部分最適ではなく全体最適(ネットワーク全体にとっての最適化)を実現できることを確認するためのシミュレータを計算機上に構築した(実施計画(1)に該当).また,そのシミュレータ上で,ネットワークのノード/リンク/ネットワーク全体のそれぞれに評価値を与えて,進化的手法により創発的に最適化するアルゴリズムを提案し,シミュレータに実装した.その結果,提案した創発的最適化手法により,【特徴B】が実現できることを確認した(実施計画(2)に該当). 一方,【特徴A】最適化性能のスケールフリー性,および【特徴C】負荷分散に加えて機能分散の実現,については,シミュレータ上での実装まで至っていない.これらは,平成23年度に実装予定である. また,創発的最適化手法の新たな応用に向けて,ニューラルネットワークなどの情報処理ネットワークの最適化にも取り組んでいる(実施計画(3)に該当).従来手法に対する優位性を示すまでには至っていないが,提案手法による【特徴A/B/C】の実現が示される場合には,従来手法に対する優位性があると予想されるため,平成23年度も引き続き取り組んでいく予定である.
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