研究概要 |
本研究では,自律分散的な進化的手法を用いて,IPネットワークのルーティングを最適化するアルゴリズムをの構築を目的としている.特に以下の3つの特徴を持つ最適化アルゴリズムを実現し,シミュレータ上でその有効性を解明することを目指している. 【特徴A】最適化性能がスケールフリーである(ネットワークの規模に依存しない最適化). 【特徴B】部分最適ではなく全体最適を実現する(ネットワーク全体にとっての最適化). 【特徴C】負荷分散のみならず機能分散を実現する(通信の優先順位に応じた最適化). 2010年度までに,【特徴B】部分最適ではなく全体最適(ネットワーク全体にとっての最適化)を実現できることを確認するためのシミュレータを計算機上に構築した.また,そのシミュレータ上で,ネットワークのノード/リンク/ネットワーク全体のそれぞれに評価値を与えて,進化的手法により創発的に最適化するアルゴリズムを提案し,シミュレータに実装した.その結果,提案した創発的最適化手法により,【特徴B】が実現できることを確認した. 2011年度は,【特徴A】最適化性能のスケールフリー性,および【特徴C】負荷分散に加えて機能分散を実現する最適化手法の研究に取り組んできた.新しい最適化手法の基本的なアルゴリズムは,2011年6月の人工知能学会全国大会にて発表した.その最適化手法の基礎実験の結果は,2011年9月の電気関係学会九州支部連合大会にて発表した.しかし,IPネットワークへ適用するシミュレーションへの実装までは至らなかった.今後,提案手法による【特徴A/B/C】の実現により,従来手法に対する優位性があることを示す予定である.
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