研究課題
本研究の目的は、高速かつ精細なセンシング技術を応用することにより眼球状態とその運動を詳細に取得し、その画像群・時系列トラッキング情報などから得られる生体情報を利用することにより、ライフログアプリケーションの拡張を行うことである。従来の眼球微細運動のセンシング研究では、固定設置の大規模な装置が用いられており、人間の日常を記録することができない問題があった。本研究の成果により、眼球状態のセンシングが従来よりも小型の装置で実現可能となり、作業環境やウェアラブル環境でのセンシング結果をライフログ応用につなげるための基盤技術となることが期待できる。前年度までに構築したセンシング機構をもとにして平成22年度は視線情報を利用したユーザインタフェースを含むライフログアプリケーション構築と、その評価を行った。このアプリケーションによって、利用者の視線情報を常時記録することが可能であり、さらに画像処理技術の併用することにより、視界中のどのオブジェクトに注目していたか、を記録することが可能となった。従来ライフログ研究では膨大な蓄積映像から人間の記憶想起にとって意味のあるインデックスを生成することが大きな課題であったが、本研究のように視界映像とともに視線情報を記録することによって、より人間の記憶に即した映像の構造化が可能になると考えられる。また、映像の記録だけでなく、リアルタイムの視線情報を利用した情報提示・作業補助など、ウェアラブル環境で視線計測が可能となることにより様々なアプリケーション展開が可能となる。
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情報処理
巻: Vol.51,No.7 ページ: 775-781