研究概要 |
今年度は3年計画の2年目であり、昨年度得られた成果を基に研究を進めた。前年度に提案した局所特徴集合のカーネル主成分分析により得られた部分空間の各軸への射影長を2値化した特徴量の局所的な相関を用いた認識法には問題点があった。それは2つの2値特徴が(0,1),(1,0),(0,0)の場合には局所相関を取ると0になってしまうというものであり,有益な情報を捨ててしまっている可能性が高い。そこで,局所的な共起特徴を抽出できるように拡張し、(1,1),(1,0),(0,1),(0,0)を全て違う特徴量として扱うようにした。この方法をシーンカテゴリ識別に適用し,13シーンカテゴリを含むデータベースを用いた実験によりその有効性を示した。 また、局所的な情報表現と文脈情報のような大局的な情報表現を各々カーネル主成分分析により実現し、それらを重みづけ統合する方法を提案した。シーン識別や対象識別においては画像の見えが変化するため、局所的な情報が有効である場合と大局的な見えが有効である場合がある。 どちらが有効であるかは事前には分からず,画像が入力されてからでないと判断できないので、一般的には事前の学習により得られた統合重みを固定して使用する。ここでは、サンプル毎に最適な重みが異なることを実験により確認し、簡単な重み付けの方法を用いることにより識別精度が向上することを示した。今後は入力画像を識別するために有効な重みを適応的に選択する枠組みを導入し、相互に補正しながら推論を深めていく方法を実現する。
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