研究概要 |
前年度ではテストフィールドを記録対象としたが,平成22年度では,実際の集団行動を記録対象としてログを収録した.各種体験学習を研究対象としている研究グループと協力して,フィールド調査型,およびモノ作り型の体験学習を開催することで,よりアプリケーションに近い状態での収録を行った.参加者の頭部に装着したビデオカメラは,説明を聞く,調査対象を見て驚く,他の人に気づきを伝える,議論を行う,アイデアを出し合う,協力して作業する等の種々のイベントを収録する.それらは,後から振り返ることで事後に体験学習を強化する,体験学習を評価する,また,以降の体験学習において予習に用いる,体験活動中に参照する,といった用途に有効であると考えた.なかでも,自身の記録を後から参照する利用方法は,フィールド調査型の体験学習において調査内容をまとめる作業に役立つと思われる.その効果を検証するために,手作業を含めた情報処理を用いて記録の再生実験を行った.記録をそのままに再生しても効果的な振り返りが期待できないため,再生対象として「気づきがあった」時の記録を選択した.複数デバイスによる記録の利用や画像処理を用いた注視状態の推定,および一部の手作業により再生対象のビデオクリップを切り出した.フィールド調査型の体験学習を行った参加者を被験者として実験を行い,調査内容をまとめるタスクにおいて気づき体験の再生が与える影響を明らかにした.
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