研究概要 |
前年度までに得た知見を基に,種々の支援を自動処理により行うための基礎検討および基礎処理の実装を行った.体験の振り返りにより事後学習が効果的に行われるが,どのような体験に対してどのような振り返りを行えば良いかはまだ明らかにされていない.そこで,複数人でアイデアを出し合いながら1つの作品を作り上げる「ものづくり形式のワークショップ」を対象として体験と振り返り方法の対応について検討した.結果,意見交換・個人作業・共同作業,などのそれぞれの体験において振り返りに有効な撮影視点や行動パターンが得られた.これらは振り返り支援のためのインタラクション設計や自動処理アルゴリズムの検討に大いに役立つものである. それと同時に,明らかに振り返りに有効であると考えられる現象については自動認識することに取り掛かった.体験では人物同士のインタラクション,特に対話が大きな意味を持つため,対話が行われている時間や対話における各人物の役割を,参加者頭部に装着したカメラにより撮影された個人視点映像から推定する手法について検討した.個人視点映像には装着者が見たものとほぼ同じ内容が記録されるため,発話者や対話に固有の動作の検出を通して対話状況の認識が可能となる.また,カメラの動き=装着者の頭部運動となるため,そこに含まれるうなづきや発話者への顔向けなども有効利用できる,現時点では高精度な認識性能には到達しなかったが,利用方法の検討とも組み合わせた振り返り支援のための基盤が整備されてきたと言える.
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