研究概要 |
本年度では,研究代表者が構築したピアノ演奏のための運指取得システムをベースに,ルール処理の高度化およびアプリケーションの開発を行った.研究代表者は鍵盤に取り付けられたカメラによる画像処理と運指を補正するルールから片手でのピアノ演奏運指取得システムを開発してきた.提案システムの運指認識は95%という精度を誇るが,片手演奏のみでしか認識できないという課題があった.そこで,ピアノ演奏の特性をもとに定義したルールを新たに提案することで両手での認識を実現した. また,構築した運指認識技術を活用した学習支援システムを開発した.既存の光る鍵盤に代表される学習支援システムは,打鍵の正誤をチェックする機能をもつが,運指に関しては正解運指の提示だけにとどまっており,効率的に運指を学習できなかった.そこで,提案システムは,プロジェクタを搭載することで多彩か情報を鍵盤上に投影し,運指認識技術により誤っている指で鍵を打鍵した場合は,誤りを指摘するなど,直観的に理解できる学習法について検討した.光る鍵盤を比較対象とした評価実験よいり提案する学習支援システムの高い有用性を検証できた. さらに,ウッドベースのための運指取得システムの改良にも取り組み,鍵盤楽器と同様,画像処理および演奏ルールを組み合わせることで,リアルタイムに高い精度で運指を取得できるようになった.さらに,パーカッションにおいても,打面位置・強度・利用した手・指の位置などを取得できる機構を,マイク・カメラ・演奏ルールを組み合わせて認識する試みを行っている.
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