研究概要 |
近年,土木・建築分野において,構造物の安全性を検討し維持するために,構造物を損傷せずに検査可能な非破壊検査が強く求められている.構造物に最も幅広く使用される材料であるコンクリートの表面には,構造物の耐震性や材料劣化の進展を推定する上で極めて重要となる「ひび割れ」や「剥離」が生じる.従来のコンクリート表面の検査では,人間の目視によりひび割れ分布図の作成や,ルーペ等を用いたひび割れ計測が行われ,またハンマーによる打音の違いによって剥離の有無を検査していたが,検査の効率化・省力化を実現するために,画像処理・音響処理・ロボット技術を駆使した自動検査技術が注目されている.今年度は,(1)画像検査技術の確立,(2)ロボットの基礎技術の2点に注力した. (1)に関して,本研究ではクラックスケールを画像中に写りこませ,ひび割れとそのスケールを比較してひび割れ幅を計測する.画像計測で自動的にひび割れ計測を実現するため,クラックスケールを画像から認識するために,SlFT記述子を用い,ロバスト統計量の推定として知られるRANSACにより,テンプレートと壁面上のクラックスケールを自動認識する手法を確立した.また,この研究成果を国際会議及び国内研究会で発表した. (2)に関して,本研究では撮像ロボットと打音検査ロボットの二つのロボットの構築を検討している.本年度は,撮像ロボット用のモバイルベースの研究をし,壁面移動ロボット及びその支援ロボットに関して研究を進めた.これにより,コンクリート壁面に対して安定して移動して,壁面を撮像可能である. 今後は,打音検査ロボットを開発することで,画像と音響検査の統合を考えている.
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