研究概要 |
陸橋,トンネル,高層ビルなどのコンクリート構造物において,施工不良や経年劣化によって生じるヒビ,浮き・剥離・剥落などの不具合が構造物の維持管理上で問題視されている.そのため,建設時の施工管理だけでなく,建設後の維持管理において不具合箇所を早期発見し,事故を未然に防ぐことが重要視されている.本研究課題では,コンクリート構造物に生じる劣化損傷として代表的な,ヒビ・浮きに注目し,これらを自動的に計測可能なロボット・システムを構築する.今年度は,打音検査ロボットの開発,及び狭隘な壁面間を移動可能なロボットの開発を行った.まず,打音検査ロボットは,駆動部と打音検査に必要な打撃部を統合する機構とし,移動ロボットの壁面移動性能を損なうことなく,壁面を打撃検査できる."浮き"の劣化の生じたコンクリート壁画に対して,開発したロボットによる打音検査を行い,劣化の有無を評価可能できることを確認した.また,狭隘な壁面間移動ロボットでは,狭隘壁面間でロボットが転落することを防止するためには十分な突っ張り力をを保持することが重要である.壁面間の距離は場所により様々であり,壁面同士が並行でない場合や凹凸がある場合も十分にあり得る.そこで,一定の突っ張り力を保つ突っ張り機構を検討し,壁面間隔が変化する環境でも安定した走行を実現した. 今後は,開発した狭隘壁面間移動ロボットに打音検査機構を取り付け,小型カメラを搭載することで,画像計測及び音響計測を同時に行えるシステムを構築する。
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