研究概要 |
申請者らはこれまでに,スポット光の2次元位置・角度検出可能な画像センサを独自開発し,それを用いたレーザレンジファインダを構築している.申請者らのレンジファインダは,拡散物体のみならず,光沢のある鏡面物体をも測定できるという大きな利点がある.本課題では,このレンジファインダを発展させ,金属加工品の3次元形状と傷を同時に検出可能な非接触検査装置の開発を図る.本装置の特徴は,物体に投影したレーザ光の反射軌跡と反射強度から,物体の3次元形状に加え,光反射特性を同時に抽出する点にある.光反射特性は物体表面の粗さや色に依存したパラメータであり,質感の基本情報となる.この質感は金属加工品の傷や加工精度を目視検査する際に非常に有用となる.本課題の成果は,金属加工品の概観検査分野において,検査時間,コスト及び信頼性の面で大きな効果をもたらすものと考える. 本年度は,まず,(1)高解像度CMOSカメラを用いて2次元位置と2次元角度及び強度を検出可能な画像センサを構築した.プロトタイプによる実験では,位置検出精度約2.1pixels,角度検出精度約0.2°という結果となり,光学系の校正とともに測定データの補正が必要であることを明らかにした.補正式の導出は次年度の継続課題となる.次に,(2)測定アルゴリズムの開発においては,コンピュータグラフィックスの技術を利用した逆光線追跡シミュレータを完成させ,レーザスポット光の最適な走査手順をコンピュータ上で検討できるようになった.次年度は,このシミュレータの結果を実機で再現できるようインタフェースの構築を図り,シミュレータで得た理論値と実機での測定値との照合により,開発装置の有効性を検証していく予定である.
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