研究概要 |
申請者らはこれまでに,スポット光の2次元位置・角度検出可能な画像センサを独自開発し,それを用いたレーザレンジファインダを構築してきた。申請者らのレンジファインダは,拡散物体のみならず,光沢のある鏡面物体をも測定できるという大きな利点がある.本課題では,このレンジファインダを発展させ,金属加工品の3次元形状と傷を同時に検出可能な非接触検査装置の開発を図った.本装置の特徴は,物体に投影したレーザ光の反射軌跡と反射強度から,物体の3次元形状に加え,光反射特性を同時に抽出する点にある.光反射特性は物体表面の粗さや色に依存したパラメータであり,質感の基本情報となる.この質感は金属加工品の傷や加工精度を目視検査する際に非常に有用となる. 本年度は,主に(1)3次元形状と質感を表現する可視化プログラムの作成と,(2)試作レンジファインダの精度検証実験を行った.まず,(1)については,レンジファインダのセンサ(視線)方向を種々変化させて取得した反射光強度を,3次元データ上に濃淡として表示するプログラムを作成した.質感を完全に再現するには至らなかったが,表面粗さを反映したCG表現が可能となった.次に,(2)については,3次元形状の測定精度を検証した結果,鏡面平板0.07%,鏡面球体0.65%,拡散平板0.06%,拡散球体0.24%を得た(いずれもΔz/z).しかし,計画していた探傷装置としての有効性の検証は実施することができず,今後の課題とした. 本課題の成果は,金属加工品の外観検査分野において,検査時間,コスト及び信頼性の面で大きな効果をもたらすシーズとなり得ると考える.
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