研究概要 |
CGにより現実感の高い映像コンテンツを生成するためには対象シーンに存在する物体に関する精密なモデル(形状および反射特性)を要する.本研究では,汎用のデジタルカメラを用いた観察に基づき実在物体のモデルを自動構築する技術を開発を進めている.平成22年度は,光源のスペクトルを変化させて物体の分光反射率を推定する手法を提案した.従来研究は,どのような分光パターンを持つ光源が分光反射率の推定に効果的であるかということを十分に示してこなかった.これに対し本研究では,一般的な分光反射率の統計量に基づき物体の分光反射率を推定するために適した光源の分光分布について明らかにした.また,カメラの分光感度との関係も考慮し,そのような光源を構築するための実装上の工夫を発表した.本論文で提案する4~8の分光分布を持つ光源下において,モノクロカメラを用いてシーンの明るさを観察することにより,比較的小数枚の画像を用いて安定に精度高く物体表面の分光反射特性を推定できることを確認した.また,均一な反射特性で構成されない物体の混合画素から,ここの反射成分の割合を推定する技術への拡張を進めた.本研究で用いた光源装置は,照射する光源の分光分布を高速に変化させることができるため,ビデオレートで高速に分光反射率を獲得する技術へと拡張させることも可能である.さらに,提案する各光源の分光分布は,可視領域をカバーするような広帯域を持つため,その光源下で撮像される画像も明るく,ノイズの影響を受けにくいという利点を持つ.
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