研究概要 |
当該年度は申請課題の研究計画のうち,タンパク質自動観察システム:TERAにより取得されたタンパク質結晶化サンプルの顕微鏡画像を用いて,結晶化成長状態の判別を計算機により行うために必要とされる画像処理やパターン認識プロセスに関する機能・仕様出しおよびソフトウェアの基本的な設計について検討を行った.また,タンパク質結晶化作業のハイスループット化に貢献する計算機による成長状態の自動観察評価を実現するために必要な情報処理シーケンスの基本的な構成を行った. 成果としては,顕微鏡画像から画像処理によって観察対象領域(結晶化プレートのウェル部分:底面の円形)を自動的に抽出するアルゴリズムの開発を行った.また,自動抽出された観察対象領域を局所領域に分割して各領域に評価を割り付けるための成長状態評価領域抽出処理アルゴリズムについても開発した.これらのアルゴリズムを計算機上に実装することで,指定されたフォルダ内に存在する顕微鏡画像ファイルに対して,観察対象領域抽出および局所評価領域への分割,というプロセスを自動化することを可能とした. さらに,一般に時間,形,大きさともに不定形かつ出現位置が場合によって異なるタンパク質結晶の成長を評価する手法として,我々が研究を行ってきた画像処理による特徴量抽出手法としてテクスチャ解析による特徴抽出アルゴリズムを前述の局所評価領域へ適用可能な形式に拡張し,多変量解析手法の一手法である線形判別分析を段階的に組み合わせることで複数クラスタリングを実現する識別器をソフトウェア化するための基礎的な検討を行った. これらの研究開発活動による成果として,システムやオートメーションを専門とする国内学会の講演会において2件の成果報告を行った.
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