研究概要 |
当該年度は申請課題研究のうち二年度目にあたり,前年度までの研究成果を基に引き続き研究活動を行った.特に,前年度の成果であった蛋白質自動観察システムTERAにより取得された蛋白質結晶化画像を対象として,蛋白質結晶成長評価作業のハイスループット化を支援する機能として,結晶成長を計算機によりオンラインで評価するソフトウェアを開発し,実際に計算機上に実装することを目的として研究を実施した. 成果としては,前年度までに開発を行った観察対象領域(結晶化プレートのウェル部分:底面の円形部分)を自動抽出するアルゴリズム,抽出した観察対象領域を複数の局所領域に分割するアルゴリムを統合したプロセスに加えて,ノイズ処理等の画像前処理プロセス,分割された局所領域に画像特徴量としてテクスチャ解析を適用する画像特徴量抽出プロセス,さらには抽出した画像特徴量を基に成長状態を評価するための多変量解析による複数クラスタリングプロセスの個々を改良・開発するとともに,これらを統合して一連の自動評価プロセスとして計算機に実装して実験を行った.開発した手法を用いることで実験結果より,蛋白質自動観察システムTERAが14,000枚の画像を一日で取得するのに対して,17,000枚/日超程度の処理性能を持ちつつ5段階に成長状態の分類処理が実現され,結晶成長評価支援の効率化に貢献可能な技術が開発された. 本研究開発活動による成果の一部として,センシング原理やセンサシステムの最新技術について掲載される欧文誌において1件の査読付き論文が採択された.
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