研究課題
H23年度はまず、共起特徴の回転不変性について検討を行った。本研究にて扱う共起特徴では、共起ペアパターンの回転同値類を同一特徴に割り振ることで回転不変となる。そのようなグルーピングにより特徴次元が削減され判別力も落ちる可能性があるが、様々な間隔での共起特徴を同時に抽出することで、十分な判別力を持った回転不変共起特徴が得られた。ただし、人を対象とした画像や動画像では、人がほぼ直立するような画角で撮影されており、そのように方向が正規化されている場合には回転不変性の効果は薄い。一方で、医療での細胞画像などでは対象となる細胞は任意の向きで撮影されているため、回転不変性を考慮することによる効果は大きかった。また、昨年度に考案したBag-of-Cooccurrence-Featureの枠組みを(動画像)時系列に適用した。各フレームでの特徴ベクトルを動作wordとして量子化し、時間軸上での動作wordの共起特徴を抽出する。時間軸上での動作の共起は、動作の時間的な順序関係を記述していることに相当するため、認識対象である行動を構成する細かな動作の順序も考慮した特徴が得られることになる。これにより、動画像認識の性能が向上することを確認した。最後に、本研究にて開発した動作特徴量と他の従来法との性能比較を、様々な公開データベースを用いて定量的に行った。データベースとしては、屋内環境での上半身のジェスチャー動作や細かなハンドジェスチャー動作、屋外環境での人間行動といった、いずれもこれまでにベンチマークとして使用されてきたものである。多くのデータベースで、従来法を凌駕する認識性能を達成しており、提案した動作特徴量の有効性を定量的に示すことができた。
すべて 2012
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)
Pattern Recognition Letters
巻: Vol.33、No.9 ページ: 1188-1195
DOI:10.1016/j.patrec.2012.01.007