4関節3自由度の指を4本と4関節4自由度の指を1本備えた5本指ロボットハンドに対して適切な時間で触覚フィードバックを実現するため、タスクに応じて分布型触覚センサの空間分解能と計測周期を動的に変えられるシステムを実現した。この触覚センサは、感圧導電性ゴムの抵抗値変化を計測原理としており、電極の設計次第で多数の計測点をもつ高分解能の分布型触覚センサを構成できる。本研究では、1本の指の3部位に対して合計524点の計測点をもつ分布型触覚センサを設計、製作した。さらに、分布型触覚センサの計測の可能なセンサ計測制御回路を設計、製作し、各部位のセンサに1台の回路を対応させた。このセンサ計測制御回路は、分布型触覚センサの計測原理を利用して感圧導電性ゴムの合成抵抗値を計測できるよう、SPDT(Single Pole Double Throw)スイッチを用いて複数の計測ラインを1本として切り替えられる機能をもつ。この機能により、分布型触覚センサを任意に分割して計測できるようになり空間分解能が可変となった。 ロボットハンドのタスクをドアの開閉動作として、提案する分布型触覚センサシステムの有効性を検証した。その結果、分布型触覚センサの計測結果をフィードバックし接触位置を認識させることで、各指の把持力を調整し、確実なドアノブ操作を実現することを確認した。計測領域を予測する機能を付加することで、把持から操作への切り替えの速いドアノブ操作を実現することも確認した。 本研究の結果から、空間分解能を可変とすることで、ロボットハンドのドアノブ操作中に接触に関する情報を高速にフィードバックでき、そのことがロボットハンドの制御に有効であることが示された。今後、システムとして拡張を進め、器用なロボットハンドを実現する。
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