研究概要 |
実環境下で行動するロボットを実現するためには、照明条件やセンサ特性の変化など、観測条件が変化する場合であっても,同一の外部環境を同一と認識することが可能な,頑健な知覚能力が必要となる.人間の場合,まったく同じ観測条件下で外界(環境)を繰り返し見ることは非常に少ないが,同一の外界を安定して同一であると知覚することが可能である.観測条件の変化にともなう外界からの刺激情報(センサ情報)の変化によらず,外界と状態の対応関係が保持されるこのような人間の知覚特性は恒常性と呼ばれている.本研究では,人間の持つ知覚の恒常性発現機構メカニズムを参考に、観測条件の変化に対して,恒常的な外界-状態マッピングを実現する知覚メカニズムの提案と,ロボットシステムへの応用を目指した.具体的な研究項目として、(1)観測条件の変化に対して頑健な状態表現の提案、(2)状態の統合による環境モデルの自律的獲得、という二つのテーマを設定した.(1)項では,様々な観測条件の変化によるセンサ情報への影響についてまとめ,ロボット自身の能動的な動きにもとづく状態表現方法を提案し,シミュレーションによりその頑健性を検証した.(2)では、(1)で提案した状態表現を応用し、環境モデルの自律的獲得手法を提案した.提案手法の有効性を確認するために、実ロボットを用いた環境識別実験を行った結果,提案手法により得られた環境モデルを用いた方が、従来法に比べて高い識別率を得られることを確認した.
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