研究開発の要旨を以下の(1)~(4)に記す。 (1) 視覚センサを利用して二種類の地図生成システムを製作した。第一に、単眼カメラを利用して、屋内の床・天井・壁の3次元構造を推定し、3次元モデル(地図)を生成するシステムを開発した。第二に、ステレオカメラを利用して、屋内外の三次元エッジ特徴を検出・追跡し、3次元エッジ地図"を生成する方法を開発した。実験により、いずれの方法も、精確に地図生成を行えることを確認した。 (2) 複数の3次元地図を位置合せして、大規模な地図を生成する、マップマッチング方法を開発した。具体的には、昨年度までに開発した2次元マップマッチングの方法を、3次元同次変換(回転・並進)行列を利用して、3次元マップマッチング方法へと拡張した。先述の3次元エッジ地図を用いた実験により、手法の有効性を確認した。さらに、複数の地図を確率的に結合する方法(マップ結合)を開発した。 (3) 迷子になったロボットが自己位置を再認識する(大域自己位置推定)システムを開発した。このシステムは、第一に、GISTシーン記述子を用いて、単眼画像を一本の特徴ベクトルへと要約する。第二に、特徴ベクトルを、32-bitビット列へと翻訳する。そして、第三に、各画像による推定結果を確率的に統合する。ただし、上記翻訳のための辞書関数として、大規模Web検索などで実績のあるセマンティックハッシング技術を実装し利用した。 (4) 視覚センサによる大規模な地図生成(視覚センサSLAM)システムを実現した。その要素技術として、上述のように、地図を生成する技術(地図生成)、移動経路に沿って逐次的に地図列を位置合せ・統合していく技術(マップマッチング・マップ結合)、および、長距離経路のスタート地点を再認識する技術(大域自己位置推定)システムを利用した。
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