研究課題
今年度は、1)様々な心理状態に関する遺伝子発現データの収集、2)共通の発現パタンを示す遺伝子セット(モジュールと呼ぶ)の新規抽出法の開発、および3)モジュールの遺伝子機能解析を実施した。【1)データ収集】公的データベースGEOから、心的ストレス(孤独感、笑いなど)や精神病を持つ被験者から採取された遺伝子発現データと、それらの出典である学術文献(またはリンク情報)を収集した。【2)新規モジュール抽出法の開発】以前代表者らが開発した方法では、モジュール内で発現パタンが完全に一致するものしか探索できなかったため、一部にノイズ(欠損値など)を含む重要な遺伝子を取りこぼしてしまう可能性があった。本研究では、疑似クリーク列挙と呼ばれる手法を用いることにより、ノイズを含むモジュールを網羅的に探索することを可能にした。また、心的ストレスの強い群、弱い群、コントロール群のような複数クラス間で差別的な発現パタンを持つモジュールを抽出するため、"クラス特異度"という新しい指標を考案した。【3)遺伝子機能解析】Functional Enrichment解析を用いて、2)で抽出されたモジュールの生物学的機能を調べた。結果、近年の研究で心的ストレスとの関連が示唆されている遺伝子が多数見つかった。以上の1)~3)をとおして得られた、発現データ、文献情報、モジュール、機能解析結果を、個々の心理状態ごとに整理してデータベース化し、キーワード検索による閲覧が可能なプロトタイプシステムGEMINDを開発した。次年度は、モジュール抽出法の高速化、外部の公的Webツールとのシームレスな接続環境の構築、文献からの知識抽出機能の実装を行っていく。
すべて 2010 2009
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Bioinformation 4(4)
ページ: 134-137
Methods in Molecular Biology 577
ページ: 55-65
The journal of three dimensional images 23(3)
ページ: 30-35