研究概要 |
本研究の目的は,ヒトが材料を触る動作における皮膚-材料間相互作用を明らかにし,材料の触感評価と触感制御を行うことである。特定の触感を惹起する材料の設計は,現在触感が重要視されている化粧品や繊維・皮革製品にとどまらず今後幅広い素材・材料に要求されるようになってくることが予想される.しかし,触感の評価に広く用いられている官能評価は主観的な手法であるため,触感の背後にある物理的現象を捉えることができない.またその一方で,材料の微細構造を直接触感に結びつけることも困難である.したがって,材料の触感設計に繋がる客観的な触感の評価手法の確立,さらにはそれぞれの触感を定義づける物理モデルの構築が必要である.本研究では,材料の触感設計を目的として,触感の定量化を試みた. 本年度はまず,ヒトが対象物質を触るときの生体計測と力学計測を組み合わせ,半客観的な触感評価手法の確立を行った。その結果をもとに相互作用の物理モデルを構築し,繊維製品や化粧品などの触感知覚の物理的メカニズムの検討を行った。 モデル系として,すでに官能評価に基づいて経験的な触感設計が行われているスキンケア製品塗布時の触感について,塗布速度,塗布時の触圧の測定と,その官能評価との関係について検討した.また,毛髪の触感について,力学計測による定量化を試み,ヘアケア製品の触感の定量評価を行い,実用的な評価システムの構築を行った.これらの結果から,触感のモデル構築のための考察を行った.
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