研究概要 |
本研究では,生態情報である脳の活動状態と言語情報であるテキスト文章を利用し,ユーザが持っている潜在的な嗜好を推定する手法を開発することを目的としている.本年度は2年目にあたる. 昨年度に26名(男性:23名,女性:3名)の被験者に対して脳活動測定装置(EEG)を装着しながら映画を視聴する被験者実験を行い,本研究で必要不可欠となる脳波データ,ならびに,嗜好推定に必要となる感情に関するデータを収集した.これを利用し,人の感情を推定するアルゴリズムを開発した.昨年度は,すでに販売されている既存の感情推定システムと比較して,同程度の推定精度であった.本年度は,脳波に関する知識ベースの構築方法に改良を加え,精度向上を実現させた.具体的には,クラスタリング手法を導入し,脳波に関する知識ベースの量を効率よく圧縮し,誤った判断を減らす工夫をした.これにより,従来手法に比べて約5%の精度向上を果たすことが出来た. また,本年度も昨年度に引き続き,17名の被験者から脳活動測定装置(EEG)を用いて脳波データ,ならびに,嗜好推定に必要となる感情に関するデータを収集した.なお,本年度はすべて女性の被験者からデータを取得した.これにより,男女の差異などについて検討が出来ると考えている. 昨年度開発した言語情報に基づく潜在的嗜好推定に必要となる「表在嗜好の推定」,「暗黙嗜好の推定」に関するアルゴリズムの改良を行い,精度向上を果たしている.
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