研究概要 |
本研究は,複素領域に拡張された逆問題解法の1つである複素ネットワークインバージョン法についての枠組みの構築および,実際の不良設定逆問題に対する適用可能性の検討を目的としている. 本年度は、実際の逆問題への応用として分散電源逆推定問題について適用可能性を検討し,さらに不良設定問題を設定して正則化法適用の有効性を示した.具体的には,分散電源回路問題への応用のために分散電源回路モデルの構成とデータの作成を行い,さらに複素ニューラルネットワークによるシミュレーションを行った.その結果,不良設定性の無い状態での分散電源の逆推定が十分可能であることを示した.また,解の一意性に関する不良設定性に対する正則化法の効果について検討を行い,シミュレーションによって有効性を示した.これらの結果を論文にまとめ学会発表を行った.今後は,分散電源回路の逆推定問題に関し,さらに解の存在性・安定性について不良設定性の生じる問題を設定して,その解決法と効果を議論していく予定である. 上記に加えて,複素ネットワークインバージョン法の実際の問題への応用として,生体計測分野の研究テーマである神経誘発電位モデルの逆推定問題への適用を考え検討を行っている.今後,具体的なモデル構成やネットワーク構成法を検討し,シミュレーションを行うことを予定している. 以上のように,本年度は複素ネットワークインバージョン法による不良設定逆問題解法について,分散電源逆推定問題を中心に,実際の問題への応用に関わる検討を行い有効性を示してきた.次年度以降さらなる検討を行い,成果が上がり次第研究発表を行う予定である.
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