研究概要 |
本研究では,多種多様な制約条件下において熟練作成者の知識を探索に直接利用可能なナース・スケジューリングアルゴリズムを進化的計算法に基づいて開発する.本研究は具体的に,1)記号データによって構成された看護師勤務表から学習によって特徴的かつ普遍的な組み合わせの部分パターン集合を自動的に抽出するアルゴリズムの開発,2)1)のナース・スケジューリング問題への適用,の2つの要素にわかれる. 今年度は,まず1)のアルゴリズムを開発するため,熟練者によって作成された看護師勤務表データの収集を行った.次に,このデータを用いて,自己組織化マップ(数値ベクトルを量子化するためのアルゴリズム)を用いて,勤務表内の局所的規則の抽出と解析を行った.ここで,看護師勤務表に含まれる記号データの数値化とその距離尺度を算出するための方法として,ハミング距離やG.Hintonらによって提案された確率的近傍埋め込み(Stochastic Neighbor Embedding)法などの検討を行った.検討の結果を踏まえ,記号データの数値化およびその距離尺度の算出においては,今後引き続き調査する必要がある. また,2)においてナース・スケジューリング問題へ適用するための進化的計算アルゴリズムの開発を行った.ここでは,複数の個体集団を取り扱うことが可能な分散遺伝的アルゴリズムと,社会学に基づいて開発された粒子群最適化法(Particle Swarm Optimization)に基づく新たな進化的計算アルゴリズムの開発を行い,その性能評価を行った.
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