研究概要 |
本研究では,多種多様な制約条件下において熟練作成者の知識を探索に直接利用可能なナース・スケジューリングアルゴリズムを進化的計算法に基づいて開発する. 今年度も,昨年度に引き続き,主に,ナース・スケジューリング問題へ適用するための進化的計算アルゴリズムの開発と性能評価を行った.まず,昨年度開発した個体長の異なる複数の集団を取り扱うことが可能な分散遺伝的アルゴリズム(Distributed Genetic Algorithm : DGA)の性能評価と一般化を行った.具体的には,一般的な最適化問題に提案アルゴリズムを適用し,提案手法の探索性能を評価するとともに,アルゴリズムの微修正を行った. 次に,生体の群れ行動に着想を得た解探索法である粒子群最適化法(Particle Swarm Optimization : PSO)に基づく新たな進化的計算アルゴリズムの性能評価を行った.具体的には,実数を扱うベンチマーク問題を用いて性能評価を行い,探索回数と計算量について,従来手法との比較・検討を行った.また,離散データへの拡張についても検討を行った.実験の結果,提案するPSOを用いることにより,従来と同程度の計算量で,従来よりも短時間で良質な解を求めることができることを明らかにすることができた. また,昨年度開発を行った自己組織化マップ(Self Organizing Map : SOM,数値ベクトルを量子化するためのアルゴリズムのひとつ)を選択・淘汰に用いたGAを用いて,様々なベンチマーク問題の解空間とその内部における探索過程の可視化を行った. さらに,個体に変動を与えることにより,GAの探索効率が向上することを発見し,様々な最適化問題についてその有効性を確認することができた.
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