本研究は、自治体財政が逼迫するなか、公共サービスの効率性ならびに行政評価やその説明責任が求められているという背景の元で、公立図書館のもたらす経済価値を定量的に測定するための手法を構築するとともに、その適用可能性と限界を明らかにしようとするものである。具体的には、主に経済学分野で開発・発展してきた、非市場財に対する複数の価値測定手法(CVM、コンジョイント分析等)を公立図書館、および、そのサービスの評価に適用し、政策評価手法としての有効性について検証することを主たる目的としている。 平成22年度は、コンジョイント分析に基づいた図書館への支払い意思額を推計するため、前年度に実施した市民の図書館に対する選好意識に関するアンケート調査について詳細な分析・考察を行い、その成果を学会にて公表した。 また、全国規模の調査を実施するための基礎データとして、既存の定期的な公立図書館統計では調査されていない図書館の利用規則について、日本の全ての公立図書館、及び、図書館類似施設のウェブサイトを網羅的に通覧し、「登録条件」「貸出規則」「延滞罰則」等に関する実態を把握した。加えて、利用規則に影響を与えている規定要因、ならびに、利用規則そのものの相違によって図書館利用にどのような変化がもたらされるかについて分析を行うとともに、その成果を学会にて公表した。
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