平成21(2009)年度は、米国ワシントンとその周辺地域にて訪問調査を実施した。具体的な訪問先は、政府印刷局(GPO)、国立公立書館・記録管理庁(NARA)、議会図書館(LC)などの連邦政府機関、またメリーランド大学情報学カレッジ、アメリカ図書館協会(ALA)ワシントン事務所、政府情報アクセスに携わる非営利組織"Open The Government. org"である。この訪問調査を通じ、政府情報の管理・保存・アクセスに関する制度・政策的課題、またそこでの図書館・文書館等の役割について、国際比較を行うための一定の視座を得ることができた。あわせて、国際図書館連盟(IFLA)の年次大会(イタリア・ミラノ)に参加し、欧米圏以外の政府情報アクセスをめぐる現状、ならびに関連したところで学術情報(政府助成によるもの含め)のオープンアクセスに関する現状を多方面から把握することができた。さらに、文献調査を通じて、米国の公共図書館における電子政府アクセスをめぐる現状と課題、とりわけ「連邦政府刊行物寄託図書館制度(FDLP)」と電子政府との関係や、フロリダ州の財政危機を背景とした「公共図書館での電子政府関連サービス」の実情を把握した。これらの成果の一部については、平成21年度内に解説論文や学会発表などのかたちで発表を行ったが、本格的には平成22(2010)年度より、原著論文や国際会議発表も含めて成果を世に問うことにしている。平成22年度は成果発表とあわせ、国際比較を進めていくため、さらに文献調査や各国・各地域での実地調査を継続していきたい。
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