研究概要 |
本研究の目的は,プログラミング教育における問題解決能力の獲得プロセスに注目し,プロセス観察による教育支援方法の確立と,その支援プラットフォームを提供することである.平成21年度は,まず現状の教育の分析を行い,情報系学生のためのプログラミング教育の目的の整理を行った.その成果として,これまでプログラミング教育で重視されていなかった,プログラムの抽象化機構について扱うことについて提案を行った.加えて,PBL(Project-Based Learning)におけるプログラミングのコストについての考察を行った.これと並行し,企業の技術者に対して,ペアプログラミング方式によるプロセス観察の予備実験を実施した.方式の洗練により4時間程度の活動記録によって基本的なプログラミングプロセスが把握できるという感触が得られているが,ピアレビューによる観察記録とビデオ記録の照合において,観察記録の情報量が不足することが明らかになり,現在これを改善するための支援ツール開発と分析方法のカテゴリー化作業を進めている.支援ツールについては,作業記録支援サブシステムのフレームワークと複数の開発環境への実装およびテストが完了し,平成22年度の実証実験で利用できるようになっている.平成22年度には,学生,企業技術者双方を対象とし,開発されたツールを利用したプロセス観察による教育の実施と評価,および分析方法の洗練と分析ツールの開発を実施予定である.
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