本研究はコンピュータプログラムによる自動プレイにより大量のゲームのデータを採取するという手法で、将棋の変種、特に「中将棋」と呼ばれる変種のように大きな盤でプレイされる変種において、各種ルールがゲームの性質にどのような影響を与えているか評価を行うものである。 21年度は、主に3点の目標を設定していた。1点目は機械学習および自動プレイに関する計算機実験の改善(高速化と性能向上)を行うことである。まず計算機のマルチコアCPUの能力を活用するため計算機実験プログラムの並列化を行い、プログラムの高速化を行った。この改良によりマルチコアCPUの能力に応じた一定の速度向上を実現している。同時に機械学習の手法およびパラメータの見直しを進め、学習が終了するまでの速度向上と安定性向上をはかっている。 2点目は中将棋の特殊ルールについて考慮した計算機実験を行うことである。この実験は、前述の計算機実験改善に一定の進捗があってから取り組むことが前提であったため、まだ実験を開始して間がない。今後、計算機実験の改善と並行して各種データの採取を進めていく予定である。 3点目が変種間の類似度評価を行うための数値的な評価尺度の検討である。計算機実験で得られるゲームのデータからいくつかの指標化を検討している。これまでに利用してきたゲームのデータとは異なる要素を新たに指標として取り込むことも検討しているため、過去に実験を行っている将棋類の変種についても一部は再実験を実施している。
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