本研究はコンピュータプログラムによる自動プレイにより大量のゲームのデータを採取するという手法で、将棋の変種、特に「中将棋」と呼ばれる変種のように大きな盤でプレイされる変種において、各種ルールがゲームの性質にどのような影響を与えているか評価を行うものである。 平成22年度は、昨年度に引き続き機械学習および自動プレイに関する改善を目指してきた。また、それらの結果を利用し、中将棋の特殊ルールについて考慮した計算機実験を行っている。特に、中将棋における特徴的なルールである、獅子という駒に関する特殊ルール群に着目をし、それらのルールの有無によって、自動プレイによるゲームのデータがどのように異なってくるか自動プレイによる計算機実験を行い、評価を進めている。前述の機械学習等の計算機実験の改善と並行して実施していたこともあり、これらの計算機実験は完全には終了しておらず、現在も実験は継続中であるが、現時点までに得られたデータについての評価を進めている。 さらに、将棋類の変種間の類似度評価を行うための数値的な評価尺度について検討を行っている。計算機実験によって得られたゲームのデータについて、ゲームの長さ、合法手の数などといった各要素を個別に比較する他に、いくつかの要素を組み合わせた指標化を行うことを目指している。いくつかの指標化について検討を行い、その指標を用いた変種間の質的類似度の比較を行っている。 これらの実験・評価結果については、今後学会等への発表を行っていく予定である。
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