2009年度は3年計画の1年目に当たり、当初の予定どおり、「CATVの連携アライアンスを中心とする全国的な動向の整理」と「典型的な事例における現地調査」の2つを軸に調査研究を進めた。 前者については、CATV局間の連携・アライアンスを中心とする全国的な動向の把握を目的とし、雑誌や新聞、ウェブを中心に資料・情報収集を行ってきた。過去10年間の全国的な連携・アライアンスの動向を把握したうえで、(a)M & Aによる企業買収・MSO化、(b)市町村合併に伴う局間合併、(c)複数市町村域や県域・県域を超える近接局間の広域ネットワーク化、(d)地理的近接性を問わない全国的な連携・ネットワーク化という4類型に整理した。しかし、各類型のなかでも多様な形態が存在し、また類型化の難しい事例も散見された。例えば、単なる企業買収・MSO化と括れない資本関係に基づく法人化・局間合併、隣接業界にあたる通信事業者との連携や資本関係など多様な連携が多くみられ、近年における傾向ととらえることができる。 後者の現地調査としては、「(c)複数市町村域や県域、県域を超える近接局間の広域ネットワーク化」を中心に現地調査を進めた。具体的には、新潟、長野、山梨、長野を起点に新潟・富山へと広がる超県域の連携、名古屋中心の東海エリアの事例である。また、「(b)市町村合併に伴う局間合併」として、山梨県笛吹市、新潟県上越市、「(d)地理的近接性を問わない全国的な連携・ネットワーク化」として三重県・新潟県の複数局による持ち株会社化についてもヒアリングを行った。 さらに、今後への布石として、天草エリアの調査を行っている。この地域では住民による情報発信やインターネット放送が盛んに行われその経緯や現状を知るとともに、地域全体でのメディアの布置状況におけるCATVの位置づけやあり方を認識するうえで有意義な機会となった。また、積極的にインターネット・ウェブを活用している事例として長野県上田市で取材を行い、先進的な取り組みの現状とその背景やねらい等についてヒアリングしている。
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