研究概要 |
本年度は、部分因果ネットワーク推定法の基本原理を確立することを目的とした。そのために、まず(1)外生変数の推定法の開発に取り組んだ。小標本であっても信頼性高く推定できるような小さくかつ重要な部分として、因果ネットワークの外生変数に着目した。外生変数は、因果システムのトリガーの役割を果たすと考えられる。外生変数を同定することにより、効果的にシステムを制御したり、現象の根本原因の同定に関する仮説を得たりできると予想される。それから、(2)推定された外生変数を起点とした部分ネットワーク推定法の開発第2段階として、推定された外生変数を起点として、部分ネットワークを推定する統計解析法を研究開発した。これらの結果は、因果ネットワーク推定法に関する研究で最も権威のある国際会議(Uncertainty in Artificial Intelligence 2009, UAI2009)に口頭発表として採択され出版された。 また、次の2つについて学会発表を行った: 1. 上述の因果ネットワーク推定法に基づいて、遺伝子発現データを分析し、有望な結果を得た。 2. 上述の因果ネットワーク推定法の統計的信頼性を調べるためのリサンプリング法を開発した。これにより見せかけの発見を防ぐことができる。 これらの結果は、現在査読付雑誌に投稿中である。 次年度は、本年度に開発した因果ネットワーク推定法をさらに改良・拡張し、実際のデータ解析において、より信頼性の高い因果ネットワークを推定できるようにしたい。
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