研究概要 |
未知母数によって母数化された確率分布からの無作為標本が得られたものとする.これらの無作為標本に基づく未知母数の推定問題を考える. 小標本の観点からは,確率密度関数のサポートが1次元の未知母数に依存し最小十分統計量の次元が2のときに,一般化Bayes推定量が線型指数(LINEX)損失関数の下で許容的となるための十分条件を導出した.この結果は従来知られていた2乗誤差損失関数の下での結果Kim(1994)の拡張であることが示される. 大標本の観点からは,未知母数が2次元のときに修正最尤推定量が基準化2乗誤差損失関数の下で2次漸近許容的となるための十分条件,必要条件について考察した.また,この結果の応用として2母数ロジットモデルにおける推定問題を考察し,最尤推定量は常に2次漸近非許容的であり,最小ロジットカイ2乗推定量は確率変数の個数が6以上のとき,またそのときに限り2次漸近許容的であることがわかった.このことはGhosh and Sinha (1981)での1母数ロジットモデルでの結果,最尤推定量は常に2次漸近非許容的であり,最小ロジットカイ2乗推定量は確率変数の個数が4以上のとき,またそのときに限り2次漸近許容的である,ということと比較すると興味深い結果であると思われる.
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