研究概要 |
ロジスティックモデルは,二値データの統計分析手法で最も広く使われる手法である.このモデルにおいて最尤推定量(以下MLE)と最小ロジット・カイ2乗推定量(MLCSE)のどちらが良いかという問題は,Berkson's bioassay問題と呼ばれていて,古くから議論されてきた.Ghosh and Sinha(1981)は2次漸近許容性の概念を提案し,この観点からこの問題の解決を試みた.まず,彼らは一般的な1母数の設定において,2乗誤差損失関数の下,修正MLEが2次漸近許容的となるための必要十分条件を導出した.特に,ロジスティックモデルにおいて,彼らは,MLEは常に2次漸近非許容的であり,ラオ・ブラックウェル化MLCSEはdoseが4以上のとき,またそのときに限り2次漸近許容的となることを示した.しかしながら,多母数ロジスティックモデルにおけるこれらの推定量の2次漸近許容性についてはよくわかっていなかった.昨年度の研究代表者らの研究では,2母数分布の一般的な設定において,規準化された2乗誤差損失関数の下,修正MLEが2次漸近許容的となるための条件について考察し,この結果を用いてMLEは常に2次漸近非許容的であり,ラオ・ブラックウェル化MLCSEはdoseが6以上のとき,またそのときに限り2次漸近許容的となることを示すことができた.そこで,本年度は昨年度の結果を3母数以上の場合に拡張した.結果としては,MLEは常に2次漸近非許容的であり,ラオ・ブラックウェル化MLCSEはdoseが2p+1以下のとき2次漸近非許容的であり,doseが4p-3以上のとき2次漸近許容的であることがわかった.
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