1 WebGISのための統計解析エンジンに関する研究 オープンソースソフトウェアの統計解析ソフトRをサーバー側で動作させるための仕組みがいくつかあり、比較検討を行った、CGIwithRのようにCGIベースのものは、処理要求があるごとにソフトウェアを起動するため、全体としての処理速度が落ちる。これに対して、ウェブサーバーのモジュールとしてRを組み込んだ、R/Apacheが処理速度の面で優れており、同時アクセスに対する処理での問題もあったが、バージョンアップにより、解決されていた。また、計算コストのかかる処理でも対応可能なように、R/Apacheを複数のサーバーで動作させて並列的に処理を行う試験も行い、実システムで利用可能であると判断した。 2 空間(疫学)統計解析手法の高速化に関する研究 空間データにおいて、特異点を検出したり、未観測点の予測値を計算したりするための手法であるクリギングの高速化についての研究について、先行研究の調査を行った。いくつかのアルゴリズムについて実装可能かどうかについての比較検討を行ったが、いずれについても、適用するデータに制約条件が多く、必要があれば、アルゴリズムの改良をすることも今後検討していく。 3 地域環境、保健環境データベースに対するWebGISの構築と実用性の検証に関する研究 福岡県保健環境研究所から提供された1978年から2006年の人口動態データをオープンソースのRDBMS(リレーショナルデータベース管理システム)であるPostgreSQLで管理できるようデータベース設計を行った。また、コロプレス図(塗り分け地図)を年度によって柔軟に(市町村合併を反映した形で)出力するようにするための検討を行い、PostgreSQLの地図データ格納用のライブラリであるPostGISを導入して、数値地図および市町村合併情報をデータベース化した。
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