研究概要 |
fMRIにより観測される脳の賦活部位を表す画像には一般に計画されたタスクに関連する部位以外にも様々な信号源に起因するアーチファクトも含まれており結果の臨床的解釈の妨げとなっている.本年度は主にこのような様々な情報が混在する画像から興味のある脳画像だけを有効に抽出する統計解析手法である独立成分分析法に関する研究を行った.はじめにデータを柔軟にモデル化できるスプラインモデリングについての研究を行いJapanese Journal of Public Health誌に論文を発表した.次にそのモデリングを利用した密度推定法による独立成分分析アルゴリズムを開発し,コンピュータシミュレーションにより他の手法との性能比較を行った.推定誤差が小さいという意味で他の手法とは劣らないという結果を得ることができた.そしてこのアルゴリズムを基に従来法より仮定の少ない区間推定法としてブートストラップ法を用いた方法を開発した.コンピュータを用いたシミュレーションデータに対し使用例を示すとともに客観的な評価を行い,提案した手法が合理的な被服確率を与えるという意味で有効な手法であることを示した.研究成果を2つの国内学会及び1つの国際学会において発表した.この方法を用いると抽出された画像源に有意に関係する観測画像を特定する事ができ,必要な観測画像のみを用いてより鮮明な画像を抽出することが期待される.そしてタスクに関連する画像検出において脳研究に役に立つことが期待される.今後は共変量を考慮に入れた方法の開発を行う予定である.またノースカロライナ大学とペンシルバニア州立大学のグループとの共同研究においてfMRIデータの統計解析を担当しパーキンソン病患者における小脳-視床-運動野経路の役割を明らかにしNeuroscience誌に論文を発表した.
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