研究概要 |
データを統計処理する際に適切な手法を選択する必要がある.それはデータの分布に仮定が成されて開発された手法があるためである.今手元にあるデータがその仮定を満たしているか否かを判断する為の手段も存在するが,本研究ではノンパラメトリック法と言われる分布の仮定を必要としない方法を用いて,脳科学へ応用できる統計処理手法の開発を行っている.これによって,方法の選択を問わないだけでなく,複雑な分布をするようなデータに対しても有効な方法の開発が期待できる.本年度は,前年度の調査より共変量調整を開発する手法に取り込む必要があるとわかったため,臨床研究におけるノンパラメトリック共変量調整法に関する研究成果を2つの国内学会及び1つの国際学会において発表した.この1つが日本計量生物学会奨励賞を受賞した.またJournal of Biopharmaceutical Statistics誌に論文を発表した.アメリカのノースカロライナ大学とペンシルバニア州立大学のグループとの共同研究において脳機能画像の統計解析を担当しパーキンソン病患者における経時的測定データから視床-線条-皮質経路及び小脳-視床-運動野経路の役割を明らかにしNeuroscience誌に論文を発表した.また脳画像から被験者に課せられた課題に対応する脳活動部位を抽出するための方法として独立成分分析法に関する研究を行い,学術雑誌に論文を投稿した.昨年度国際学会で発表した独立成分分析の統計学的推論についての論文で最優秀論文賞をいただいた.さらには,ノンパラメトリック法の1つでその結果の解釈が比較的容易にできる樹形図モデルに関する研究を行い,脳に原発する悪性神経膠腫患者の予後予測方法を開発し特許として出願し,学術雑誌に論文を投稿中である.
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