*分子系統樹を用いたベンチマークテストを行った。配列アラインメント段階と系統樹推定段階における解析手法の選択が系統樹推定結果に与える影響を明らかにするためである。Christophe Dessimoz博士らとの共同研究として行った。多数の配列を推定に含めた場合、推定の正確さが手法の選択に依存することがわかった。系統樹推定手法については、広く信じられているように、最尤法が、近隣結合法などに比べて、いろいろなタイプの入力データに対して頑健な推定をあたえることが確認された。配列アラインメント手法については、タンパク質の構造に基づくベンチマークとは少し異なる結果が得られた。以上の結果は、投稿準備中である。 *タンパク質立体構造と配列から構造-配列多重アラインメントを計算する方法として、研究代表者によるプログラムMAFFTと構造アラインメントプログラムASHを組み合わせることを試みた。ASHの開発者であるDaron M.Standley博士らとの共同研究として行った。一般に、与えられた配列のホモログの情報を加えるとアラインメントの正確さは向上する。構造配列アラインメントを計算する際もホモログの選択方法は重要であり、適切な選択方法を検討中である。現時点までの成果に基づく計算サービスを開始した。 *MAFFTプログラムを並列計算に対応させた。近年普及してきている、メモリを共有する数コアをもつPC上で並列的に動作するバージョンを開発した。POSIX Threadsライブラリを用いた。数コア程度の規模の並列計算に適した計算手法を比較検討した。以上の結果に関する論文をBioinformatics誌に昨年度投稿した。今年度受理された。
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