研究概要 |
*分子系統樹推定の正確さに対する配列アラインメントの影響を調べるためのベンチマークテストを行った。第一に、広く信じられている生物種の系統関係をどのくらいよく再現するか、という基準に基づくテストを行った。第二に、遺伝子重複の回数に基づくテストを共同研究者であるChristophe Dessimoz博士らが行った。多数の配列を推定に含めた時の影響に特に注目した。その結果、従来広く行われてきたタンパク質の構造に基づくベンチマークとは異なる結果が得られた。以上の結果を、SMBE2011学会およびISMB/ECCB2011学会において報告した。 *既存のアラインメントに、系統関係を考慮しながら新規配列を付け加える機能を実装した。大量配列を処理するための手法として、アルゴリズムの高速化や並列化に加えて、既存のアラインメントを使用する方法の重要性が最近認識されてきている。この方法は、技術的に容易である上に、生物学的知識に基づくマニュアルキュレーションや構造情報を利用しながら大規模なアラインメントを構築できるというメリットを持つ。この機能を記述した論文を準備中である。 *アラインメント計算サービスの機能を拡張した。上記新機能に加えて、入力された塩基配列の方向を自動的に判定して逆方向の配列を生成し、それをアライメントに含めることができるようにした。 *上記2点の機能拡張と他の要因によって、アラインメントサービスへのアクセス数は30%程度増加した。2011年度の訪問数は、約140,000、ユニークユーザ数は約35,000であった。アクセス元の地理的分布は、ヨーロッパ37%、南北アメリカ34%、アジア2%、その他5%である。
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