研究概要 |
本研究では、転写制御ネットワークとncRNA相互作用において、構造と頂点が持つ分子機能の関係についての分析を行う。分析の対象は有機体S.cerevisiaeの転写ネットワーク、および同有機体のncRNA相互作用ネットワークとする。対象のネットワークは公開されているデータベースより作成する。転写制御ネットワークは遺伝子発現の制御を行う転写因子(TFs)と制御される標的遺伝子によって定義される転写制御のデータから作成した。ncRNA相互作用ネットワークは、ncRNAとタンパク質の機能的相互作用データを利用している。分析には2つのパラメータと最適なアルゴリズムを用い,ネットワークが2つの異なる機能クラスに属するときの頂点の分布を特定した。この結果,転写制御ネットワークとncRNA相互作用ネットワークの双方において,ネットワーク構造と機能の関係がランダムな分布とは大きく異なることが示された。このことから,ncRNA分子が転写制御機能に関係している可能性が考えられる。 また、関連研究では、1,000個以上の有機体のマルチドメインタンパク質における情報解析と数理モデル化が研究された。21年度に開発した類似数理モデルを用い、マルチドメインタンパク質における内部重複ドメイン過程の役割を明らかにした。最終的に、病原体分子パターンによって誘導される遺伝子を同定するため新たな手法が開発された。
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