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生命現象を司る動作メカニズムの理解には、対象とする生命現象に関わる分子の特定、及びそのダイナミクスを理解する必要がある。一般的にダイナミクスは遺伝子制御、シグナル伝達、代謝等、分子間反応として表現され、ダイナミクスの特性の記述には反応方程式が用いられる。反応方程式の記述は大別して(1)分子濃度を記述した常微分方程式、(2)分子濃度の空間的分布を記述した偏微分方程式、(3)分子数のゆらぎを考慮した確率モデルに大別される。
本年度は、上記シミュレーションエンジンのうち、確率モデルシミュレーションエンジンの組み込みを進めた。具体的には、カリフォルニア工科大学との共同研究で開発が進められている確率モデルシミュレーションライブラリであるSSAlibのCellDesignerへの組み込みを進めた。
SSAlibは独自のモデル記述方式を採用しており、CellDesignerとのモデル記述互換性がなかったため、CellDesignerが採用しているモデル記述言語であるSBMLを介してCellDesignerとSSAlibのモデルの受け渡しを行うべく、SSAlibのSBML対応作業を行った。SSAlibがSBMLで記述されたモデルを読み込むことが可能となったため、CellDesignerで記述したモデルの確率モデルシミュレーションの実行が可能となった。今後はC++で記述されたSSAlibをJavaから利用すべくライブラリのバインディング部分を実装する予定である。
また、空間的分布のシミュレーションを行う偏微分方程式べースのシミュレーションに対応するため、SBMLにて空間モデルの記述が可能となる仕様拡張について調査を進めた。今後は上記拡張仕様をSBMLライブラリに組み込み、CellDesigner上で空間モデルの記述が可能となる実装を行う予定である。
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