研究概要 |
がん細胞の特徴量を分析するために、レーザースキャニングサイトメーター(LSC)により抽出したがん細胞からタンパク質量と凝集度に着目して各々1変数のデータ構造の統計分析を試みた。この結果からがん細胞によってこれらにはなんらかの関係があることを導いた。この結果を手掛かりにこれらの2変数の統計解析を行い相関関係が、がん細胞の全てのタンパク質に影響を及ぼすのではなく、ある特定のタンパク質において特に影響がある事を確認した。この特徴はがんの分類に利用することができると考えニューラルネットワークを用いて分類を試みたるタンパク質量と凝集度の散布図を作成し、散布度合いによってSOMを用いてがん細胞の分類を行うシステムの開発を行った。10種類のがん細胞・9種類のタンパク質における分類実験を試みた結果、SOMマップを用いれば散布図だけでは分類が難しい場合も容易に分類できる可能性を示すことができ、プロトタイプシステムを構築するまでに至った。現在は共同研究を行っている山口大学大学院医学系研究科で生理学的知見に基づき医学的な根拠と照らし合わせ、癌細胞の分類システムの有効性の検討を行っている段階である。また、がん細胞の分類を容易に行うデータベースも開発した。データ数の確保ががん細胞の認識率に大きく影響を及ぼす。LSCからのがん細胞のデータは医師により培養した段階でデータ抽出を行うが、がん細胞の種類によっては培養の状況に偏りが生じ,分類効率を著しく低下させる。データベース化により最新データを追加してもそのデータが反映された状況で結果を出力させることができるようになった。 今後は医者の経験から得られた感覚的情報から現時点で対応する癌の処方と薬剤の提供データを癌の分類データベースとマッチングさせ、癌の医療方針を決定するための統合システムのプロトタイプの制作へ繋げる。
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