研究課題
本研究ではメダカの行動制御に関わる候補分子として神経ペプチドに注目した。神経ペプチドは脳内に数十種類以上存在して、神経細胞上の受容体に結合して神経細胞の活動を制御する働きがある(神経修飾因子)。神経ペプチドは無脊椎動物から脊椎動物に至るまで特定の神経回路で機能し、様々な行動様式(摂食行動、攻撃行動、配偶行動、社会性行動)に影響を与える。神経ペプチドは遺伝子にコードされているため、遺伝子操作によってメダカの神経ペプチド発現を制御できれば特定の神経回路を人工的に制御する良いツールになることが期待される。本研究ではMALDI-TOF/MS法を用いて、メダカの終脳、視床下部、脳下垂体に存在するペプチドを合計16種類同定した。終脳から同定されたペプチドの一つサブスタンスPをコードする遺伝子の発現様式をin situ hybridization法で解析したところ、終脳の一部の領域と視床下部に発現が検出された。終脳は様々な感覚情報を統合する高次中枢であり、社会性を持つ魚類で発達している傾向があることから、行動目的の設定などの高次な情報処理を担うモジュールに対応する可能性がある。今後、これらの神経ペプチドをコードする遺伝子を調節した遺伝子改変メダカを作成して終脳の機能を修飾することで、メダカの行動に異常が生じるか否かを検定することが可能になった。本研究成果は国際雑誌"General and Comparative Endocrinology"に掲載された。
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General and Comparative Endocrinology
巻: 161 ページ: 138-145
Proceeding of the Third International Symposium on Mobiligence
ページ: 295-298
ページ: 308-311
http://researchmap.jp/Takeuchi/