研究課題
本年度の研究成果は以下の4項目である。(1)初期応答遺伝子(c-fos)を用いた神経興奮領域のマッピング手法の確立。メダカの脳においてc-fosが配偶行動依存に発現誘導されることを確認した。in situ hybridization法においてイントロンプローブを用いた結果、神経活動依存に新規合成された未成熟なmRNAだけを検出するため、高い時間解像度で行動依存の神経興奮を検出できた。これにより初期応答遺伝子を用いてメダカの社会性行動依存に活動する脳領域を検索することが可能になった。本研究成果は国際雑誌Biochem. Biophys. Res. Commun.に掲載された。(2)アデノウイルスを利用したメダカ脳の条件遺伝子操作法の確立。メダカを用いてアデノウイルスが硬骨魚類の脳に感染することを世界で初めて示し、アデノウイルス感染によってCre遺伝子を強制発現することで、Cre-LoxPシステムが動くことを確認した。本手法を用いることによって、メダカの社会性行動に関わる神経回路の候補を遺伝学的手法でラベルしたり、機能修飾することが可能になった。本研究成果は国際雑誌FEBS lettersに掲載された。(3)メダカの群れ様行動を誘導する新規行動実験系の確立。視運動反応によってメダカの群れ様行動(Schooling,行動)が誘導されることを示した。また当該行動は同種選択的な相互作用の結果であり、また成長に伴って発達することを示した。本研究成果は国際雑誌PLoS Oneに掲載された。(4)メダカ成体脳における細胞増殖領域のマッピング。メダカは孵化後の成長に伴って、群れ様行動や配偶者選別などの社会性行動を示すようになる。本研究ではメダカの成長に伴う脳発達の一つの様式として神経新生の様式を記載した。本研究成果は国際雑誌Brain Researchに掲載された。
すべて 2011 2010 その他
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (12件) 備考 (1件)
Biochemical and biophysical research communications
巻: 404 ページ: 453-457
FEBS letters
巻: 584 ページ: 3545-3549
PLoS ONE
巻: 5 ページ: e11248
Brain Research
巻: 1323 ページ: 33-40
http://researchmap.jp/Takeuchi/