研究概要 |
fMRI計測に基づくポピュレーション受容野推定手法(Dumoulin and Wandell, 2008)を用いて,色覚に関係するとされる第四次視覚野(V4)の視野表象を明らかにした.V4が腹側部だけで半視野を表象しているのか,背側部と腹側部に分かれて半視野を表象ているのかについては長年にわたって議論がつづいているが,V4の周辺における静脈洞によって生じる計測時のアーティファクトが原因で,被験者によっては半視野すべてを表象しているように見えないことが明らかになった.すなわちヒトのV4は半視野をすべて表象しており,背側,腹側で分割表象が行われているサルとは異なることが示唆された.この結果はWinawer et al.において発表した. さらに,多くのニューロンの総体としてのポピュレーション受容野サイズの情報から,個々のニューロンの受容野サイズの推定が可能であることを理論的に導出し,fMRI解析ソフトmrVistaに実装した.この方法を用いて運動視関連領野MT,MST野におけるニューロンの受容野サイズを推定することに成功した.今後はこれらの値を心理実験の結果と比較していく予定である. これらの研究に関連して,運動情報の方位,空間にわたる統合のメカニズムを明らかにするための心理実験やMEG実験を行っており,それらの結果の一部は既にパブリッシュされている(Maruya et al., 2010, Amano et al., 2009).
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