研究概要 |
機能的MRI(fMRI)によって算出されたボクセルの受容野(ポピュレーション受容野)から単一ニューロンの受容野を推定する手法を提案した.ポピュレーション受容野のサイズは,ニューロンの受容野サイズのみならず,各ボクセル内におけるニューロンの受容野中心のばらつきによる影響を受けるが,後者は皮質拡大率から算出できるため,この効果を差し引くことでニューロンの受容野サイズの推定が可能となる.この手法をmrVista(Stanford)と呼ばれるfMRIの解析ソフトに実装した.論文は現在準備中である. 同時にポピュレーション受容野の推定に関連して,第四次視覚野(hV4)周辺におけるレチノトピーに関する研究を行った.その結果,hV4は一部で報告されているように四分視野を表象しているのではなく,半視野を表象していることを示した.四分視野しか表象していないようにみえる被験者も確かに存在するが,これはhV4周辺に存在する大きな静脈のためfMRIの測定が困難であることに起因することが示唆された.本研究の成果は,視覚科学の一流紙であるJournal of VisionおよびVision Research誌において発表するとともに,以下に記載する学会発表等を行った. 本研究課題の共同研究者であるSerge Dumolln博士をオランダから招聘し,詳細な議論を行うとともに,東京大学における講演をお願いした.議論の結果,ポピュレーション受容野の大きさが,運動刺激のパラーメータ(速度,コントラストなど)によってどのように変化するかを今後の実験で調べていくことに決まり,共同研究を続けていく予定である.
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