研究概要 |
平成21年度に行った研究は、左右脳半球の神経活動を可視化するために必要な遺伝子及びカルシウム指示薬の導入方法と得られる神経活動データの数値解析手法の最適化である。遺伝子導入によるカルシウム指示タンパクの遺伝子導入を行うために、一細胞顕微注入法及び電気穿孔法を試みた。成魚ゼブラフィッシュ脳における電気穿孔法による遺伝子導入方法を最適化するため、以下の設定について検討した。1)脳室内に注入するpCS2-lynGFP(CMV promoter制御下に膜移行型GFPを発現するプラスミド)の濃度、2)導入時の電極、3)導入時の電流値および長さ、4)導入操作後の生存期間。その結果、脳室内に1μg/μ1の導入遺伝子を導入後、両側手綱核を挟むようにタングステン及びステンレス電極により30V,1msecの電流を1-5回程度与え、2-5日間生理的食塩水で回復させたところ、腹側手綱核神経細胞に目的遺伝子を効果的に導入することに成功した。この新しい方法で、これまで未解明であったゼブラフィッシュにおける外側手綱核相同領域を同定し、系統発生を通じて保存された内側及び外側手綱核経路を示すことがきた。この結果を以前の研究とともに、Journal of Neuroscience誌に発表した。今後、同手法をカルシウム指示タンパク質を含む導入遺伝子に応用することで、より効率的に左右半球における神経活動可視化が可能になるものと期待される。 また、カルシウム指示薬によるゼブラフィッシュ手綱神経細胞活動のアナログ信号をデータ解析ソフトMATLABによりフィルタ処理及びピーク検出を行い、発火頻度や相関について解析するプログラムを開発した。
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