研究概要 |
本プロジェクトの目的は、サルへの皮質電図(ECoG)を用いて意思決定や計画、これらの統合の際に発生する高レベル脳信号をデコードすることである。これまでに、我々はサルの脳に128チャンネルのECoGを移植することに成功した。被覆する領域はこれまで報告された中で最も大きく、視覚野、前頭前皮質、側頭葉と帯状皮質といった、全て意思決定の行程に関連した箇所である。また、ECoGをベースとした新しいシステムを構築し、ECoG信号は、高次意図的運動や視覚や聴覚的行程、社会的推論といった、高度認識機能において豊富な情報を保有している事を示した(論文発表予定)。 加えて、ECoGを基としたブレインマシンインターフェイス(BMI)において、重要な進歩を遂げた。high-order partial last squares (HOPLS)と呼ばれる新しいデコードのアルゴリズムを開発し、既存の手技よりも精度を向上させることができるようになった(論文提出済み)。また、より安全なECoGシステムのデコーディング精度を査定し、臨床的応用にも有益である事を証明した。今回のサルのトレーニングでは、複雑なタスクを行わせるまでに至らなかったが、運動制御や感覚認知、高レベル認知処理といった皮質に関連の研究に、より安定したプラットフォームを提供することが出来た。 これまでの実験における結果と考察を基に、第33回日本神経科学大会(神戸,2010年9月)とNeuroscience 2010(San Diego,2010年11月)の2つの学会で発表が行われた。
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