研究課題
本研究の目的は、我々が発見した新規ガイダンス分子であるdraxinに着目し、非常に複雑な脳神経回路の形成メカニズムの一端を明らかにする事である。本年度は、皮質視床/視床皮質軸索投射におけるdraxinの役割に着目した。視床皮質軸索と皮質視床軸索はinternal capsuleで直接的に相互作用し、最終的な標的にお互いをガイドする。実際、視床皮質軸索投射には皮質視床軸索が必須であることが多くのノックアウトマウスの解析から明らかになっている。draxinノックアウトマウスにおけるこれらの軸索投射異常を調べるために、蛍光色素DiIを用いたトレース実験を行った結果、以下のことが明らかとなった。1、視床皮質神経軸索はinternal capsuleまでは到達するがその後、大脳皮質に投射されず、一部はexternal capsuleに異常に投射する。2、皮質視床軸索の一部は、internal capsuleに入ることができず、external capsuleに異常に投射する。次に、視床皮質軸索と皮質視床軸索のどちらが最初に投射異常を示すかを調べるために、Tag1(皮質視床軸索のマーカー)とcalretinin(視床皮質軸索のマーカー)の二重染色を行った。E14.5で、皮質視床軸索は正常であるが、視床皮質軸索はinternal capsule内で異常が観察された。このことから、最初の異常は視床皮質軸索に起こり、それに伴い皮質視床軸索の異常が引き起こされると考えられた。draxinはこれらの軸索投射期に大脳皮質や視床等広範囲に発現が観察される。今後、組織片培養系を用いてdraxinが視床皮質軸索にガイダンス活性を持つのか、in vitroの組み合わせ培養系等を用いてどこに発現するdraxinが重要であるのかを検討していきたい。
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